5/3 データ分析の力 因果関係に迫る思考法の感想

読んだ。

手法としては割りとよく知っていたものだったが、ランダム化試験、回帰分断デザイン分析、集積分析、パネル・データ分析、それぞれ使っている数学はほとんど一緒にせよ、改めてきちんと解説してもらえると非常に理解が深まった。実務の方では、むしろパネル・データ分析を一番よくやると思うので(私は手持ちのデータをできるだけ活かす方向でベイズでモデルを組んで時系列分析をやるのが好きなので、狭義のパネル・データ分析ではないが)、改めて仮定とかを振り返るときに読むのにもよいと思う。

また、実務家にとっては、どういう分析手法がどういうときにうまく行ったかということのパターンを知るのは非常に大事なので、たくさんパターンが知れて良かった。
特に、この本の著者は面白い研究が好きな人で、この研究はすごく面白いんだよ、という気合を本から感じた。
そのため、非常に知的興奮を持って本を読むことができた。
よい統計学の実証研究は、ミステリー小説にも似ていて、データと仮定と数学的手法と論理をもってして、真実を明らかにする力があるなあと感じた。
その意味では、グラフや結果の説明もうまく、こういう風に説明すればよいという例としても非常に有用だった。

反面、単純にA/Bテストするとサンプル数が足りてなさそうな事例もあり、誤解を招きそうなので、そのあたりの補足が欲しかった。
というか、私もこれどうやってうまくやったんだ?となっている。
これにあまりにも感動してしまうと、単純にクリエイティブの出し分けをすることだけがA/Bテストで、なんでもとりあえず試してみればいいじゃん、となりそう。

ということでおすすめです。